現代ではインターネットを使って簡単に求人情報を調べることができますが、インターネットがない時代はどのようにして募集されていたのでしょうか?求人広告の歴史を見ると、求人情報がその時代の背景を表していることがよく分かります。
日本最古の求人広告
日本で初めて求人広告が掲載されたのは、1872年(明治5年)の7月14日とされています。募集されていたのは乳母(うば)と呼ばれる、実母に代わり乳児に授乳し世話をする女性です。現代ではあまり考えられませんが、この時代にはまだ粉ミルクなどがなく、母乳の代用品は一般的ではなかったため、実母が病気などで母乳が出せない時は乳母に頼むことが当たり前でした。
ただ、宮廷貴族の間では実母は体に問題がなくても授乳はせず、乳母を雇う風習があったと言われています。また、給金も良かったことから、この広告を出した人はそれなりに裕福だったことが伺えます。
高度成長期の求人情報
1906年、東京に職業紹介所が設置されたことをきっかけに、全国に公共職業安定所が広がっていきました。新聞の三行広告に求人を掲載したり、学校に企業が求人票を直接出して、人材を確保したりする方法も取られていたようです。この頃の日本は高度成長期であったため、終身雇用という考え方が主流でした。
しかし、1980年代に入り、高度成長に陰りが見え始めると、正社員だけでなく非正規社員のアルバイトやパートなどの求人も掲載されるようになります。折り込みチラシなどでも求人が掲載されるようになり、有料の求人情報誌が登場したのもこの頃です。
バブル崩壊後に大きく変化した求人広告
バブルが崩壊した1991年には不況の煽りを受け、有料の求人情報誌を手に取る人が減少し始めます。また、インターネットが民間に普及し始めたこともあり、求人サイトも登場しています。1999年に職業安定法が改正されたことにより、民間での有料職業紹介事案が原則自由化なり、ここから大きく変化してきます。無料の求人情報誌が発行され、人材派遣や求人ウェブサイトなど、現代でお馴染みのサービスへと発展していきました。